やまねえの東北応援日記

横浜からいわきに移住して、思ったことをつれづれ書いていきます  (このブログは個人の責任で発信しています。所属団体や紹介団体の意見ではありませんのでご了承ください)

いわきと双葉の今を知る、感じる~相双地方語り部バスツアーに参加してきました

百聞は一見にしかず。
目と耳と肌と舌と脳みそで、いわきと双葉の今を感じてきました。

この「相双地方語り部バスツアー」は、福島県内の人向けに福島県相双地方振興局が企画した初めてのツアーだそうです。参加費は1000円+お昼代1000円の計2000円(安い!)。

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告知は新聞の折り込みと福島民友の記事と語り部ご本人のSNSのシェアのみ。そのためか、40人定員の参加者層はほぼ年配のいわき在住の皆さん(郡山からの乗車も組まれていたのですが数人だったそう)でした。震災後、相双地区とはさまざまな軋轢があると言われているいわき地区の皆さんが、相双地区を知るツアーに数多く参加されるという状況は、非常にいいことなのではないかなと感じました。
(参加した人たちからは、震災以降自分の住んでいたいわき地域以北には行ったことがなかったので、どういう状況か知りたかったという声が多かったです)

今ツアーの語り部は、いわき市出身の社会学者(福島大学特任研究員)の開沼博さん。『はじめての福島学』『「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか』などの著書のほか、今年2016年1月に発表された「やさしいデータと数字で語る「フクシマ」の虚と実 雇用は激増 離婚は減少 出生率もV字で回復」という記事も話題になりました。また「福島エクスカーション」と題したスタディーツアーを30回以上開催するなど、言葉とリアルな体験、双方で福島の発信をしている方です。
そのため今回のツアーでは、誤解されている福島の現状や福島の歴史を学びながらのバスツアーとなりました。その内容に関しては、一緒に参加した友人Tさんのブログに詳しいので参照ください。


前置きが長くなりました。

私がこのツアーで感じたのは、必死に前を向こうと走っているいわきと相双地方の姿でした。

たとえば、小学校の校庭に仮設で設置されている久之浜の「浜風商店街」では、観光客である我々が到着するや否や通路にお店を展開、コーヒーを振舞い商品を並べ、歓迎・商品の紹介(売り込み)を始めます。(安くておいしいイチゴを買いました♪)
広野町二ツ沼総合公園では、おそらく震災前と同じように、おじいさんおばあさんとお孫さんたちがパークゴルフを楽しんでいました。

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お昼には、楢葉町の名物料理「マミーすいとん」を取り入れた定食がJビレッジのシェフにより用意され、参加者皆さんでおいしくいただきました。(このようなツアーだとお弁当ということが多いので、あたたかいすいとんにみなさんの顔もほころび、参加者同士会話も弾みました。)
楢葉町の天神岬公園では浮体式風力発電を海上の遠くに眺め福島の最先端技術を感じ、福島第一・第二原発が止まっている今、東京への送電の大動脈になっている広野火力発電所を眺めました。

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駅舎が撤去されてしまい、ホームが見渡せるようになっていた富岡駅の周辺では、休日にもかかわらず多くの作業員の方が働いていました。

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約4年半の間誰も中に入らなかったであろう、富岡町民のみならず周辺町民の憩いの場であったと聞くショッピングセンター「富岡Tom-とむ」は、中の施設がきれいに取り払われ、いつでも新しい什器が入れるように準備されていました。

もちろん、建物が戻っただけでは「復興」と言えません。でも人が戻った地域の人の営み、頑張ろうとしている姿を見ることが出来て、私は少し勇気づけられました。

原発被害だけでなく津波の被害も受け、まだまだそのままの家屋や建物を目の当たりにした他の参加者の皆さんは一様に言葉を失った後、酷いね…、まだそのままなんだね…、津波は本当にむごい…、とつぶやいていました。それもまた事実です。まだまだ傷を負って動けないままの人も多くいるのは知っています。
ただそこにとどまらず動いている人たちの姿をも感じていければなと思っています。


なお、今ツアーの工程は以下でした。

郡山駅

いわき駅・10:00

道の駅よつくら港いわき市四倉)

浜風商店街いわき市久之浜

二ツ沼総合公園レストラン「アルパインローズ」双葉郡広野町

ここなら商店街双葉郡楢葉町

富岡駅(双葉郡富岡町)

富岡Tom-とむ、とみおかほっとステーション周辺(双葉郡富岡町)

岡内東児童公園内、慰霊碑と津波被災パトカー(双葉郡富岡町)

大川魚店いわき市四倉)

いわき駅・16:00

郡山駅

私自身このようなバスツアーに参加するのは2回目でしたが、初めて行ったときには心と言葉の整理がなかなかつかず、ついにこのように記録に残すことが出来ませんでした。
今回は奇しくも前回とほぼ同じ工程を回ることで、つたないながらも書き残すことが出来てよかったなと感じています。(自己満足にすぎないのですけど)
これからも少しずつですが、福島で感じたこと、体験したことを発信していきたいと思っています。