やまねえの東北応援日記

横浜からいわきに移住して、思ったことをつれづれ書いていきます  (このブログは個人の責任で発信しています。所属団体や紹介団体の意見ではありませんのでご了承ください)

田人アートミーティングで感じた「はひふへほ」~ART MEETING 2016 田人の森に遊ぶ

福島県いわき市田人で、今日8月20日まで開催されていた「田人アートミーティング」。

f:id:maikoyamane:20160820220638j:plain

そこで私が感じた、「はひふへほ」について、少し書こうと思います。

は・・・廃
ひ・・・悲
ふ・・・負
へ・・・平
ほ・・・誇

は・・・廃
廃校、廃屋。廃れる…。
決していい響きの言葉ではない。
でも今回のアートミーティングでは、廃れてしまった建物に、息吹が吹き込まれていた。作品はもちろん、その建物自体が、あたたかいアートだった。

旧田人第二小学校南大平分校(上のチラシに写っている建物)、旧田人第二小学校、2つの廃校になった小学校と、山本邸という廃屋になった住宅(?)が、アートミーティングの会場に。

f:id:maikoyamane:20160820145307j:plain
「Vostokの夢」(北郷悟):旧田人第二小学校南大平分校

分校の入り口。右は職員室。なんて愛らしい建物。

f:id:maikoyamane:20160820145201j:plain
「再び、時が動く」(稲村雄太)<F.ライン>:旧田人第二小学校南大平分校

昇降口を入ると、作品がすぐそこに待っている。わくわくする。

f:id:maikoyamane:20160820152613j:plain
先日、いわきのプレゼンイベント「浜魂」の会場にもなった旧田人第二小学校。
建物そのものがやさしいアート。


悲・・・ひ
作品から悲しみの思いが響いてくる。
震災と原発事故の影響で、特に子供が避難してしまったことで、2011年以降5校が廃校になってしまったいわき市田人地区。今小学生は、4人だけだという。

f:id:maikoyamane:20160820151201j:plain
「Cut 2016」(前田真希):旧田人第二小学校

この作品に「悲」を感じたのではなく、むしろ悲しみを感じた作品は写せなかったし、長く見たり聞いたりすることが辛かった。
ここに展示されていた作品たちを見て、この地にまだまだ悲しみが残っていることと、この地を悲しみの地と感じる(外の)人たちが多くいることが、悲しく思えた。
私にとってこの地は、人と自然と可能性を信じたい地であるから。

負・・・ふ
悲より強い、負のエネルギー。
酷い雨が降っていたせいもあるのか、強く負を感じてしまったパフォーマンスやアートもあった。
f:id:maikoyamane:20160820162433j:plain
「ヒカリノフネ」(長谷川浩子):山本邸周辺

おそらくこの作品自体は、とても前向きな想いで作られたのだろうと思う。でもこの廃屋の2:46で止まった時計を見ると、あの日、あの時に起こったことを想像してしまうのを止められない。海のないこの地に、何が起こったのかを。

平・・・へ
平和。平安。平らかであること。
人と自然が、厳しくもやさしく共存している、田人。
私がこの地に足を運ぶのは、心の平安のためかも知れない。

f:id:maikoyamane:20160820152623j:plain
「平和」(キッズゲルニカ):旧田人第二小学校

この作品を、メイン会場の入口に飾ることが、このアートミーティングの大きなメッセージなのかな、と。

誇・・・ほ
誇り。
このいわき市田人地区は、いわゆる中山間地域、平たく言えば過疎地(行政的くくりで言うと過疎地域ではないのだが便宜上)。人口流出、少子高齢化が加速している地区。
そのような地域で、アートミーティングが開催されるのは、2013年、2014年に続き今年で3回目。全国各地のナンバーの車がこの地を訪れる。芸術作品が集結する。それはこの地にとってやはりうれしいことなのではないか。
でもなにより、私の知っている田人の住人は、田人のことを好きで誇りに思っているように感じている。それが、すべてかも知れない。

f:id:maikoyamane:20160820174617j:plain
「三匹獅子舞」(入旅人芸能保存会)

田人地区に4人しかいない小学生の内の3人が伝統芸能を披露。本来は敬老の日に、この三匹獅子舞と念仏太鼓を奉納するそう。ちなみにこの3人は3姉妹。
こうやって伝統を守り続けることも、その地の誇りを感じる。


たくさんのアートを浴びてきて、言葉を紡ぎたくなってつらつらと書いてみました。
正解はなくて、間違いもなくて、ただただ感じること。
その感じた想いが、いつかどこかで、芽吹く日が、多分来る。